ジャーナリングは昔から、頭の中を整理し、つらい気持ちと向き合い、いま経験していることを理解するための方法としてすすめられてきました。でも、ジャーナリングは本当にメンタルヘルスに役立つのでしょうか?それとも、書き出すことで役に立っている気がするだけなのでしょうか?

答えは「はい」。ジャーナリングは心の健康を支えることができます。さまざまな書き方を対象にした研究で、ストレスや不安、感情面のウェルビーイングへの効果が確認されています。ただ、多くのウェルビーイングのツールと同じように、どれだけ役立つかは、その人や書き方、そして何を求めているかによって変わります。

ジャーナリングは、セラピーやほかのメンタルヘルス支援と並行して取り入れると、とくに価値を発揮することがあります。ペースを落とし、経験を言葉にし、対話と対話の間にも大切なことを考え続けられる場所になるからです。

研究が投げかけているのは、「効果があるかどうか」よりも興味深い問いです。どんな書き方が、誰にとって、どんな状況で役立つのでしょうか?

ジャーナリングとは?研究が実際に調べているのは何か

ジャーナリングという言葉は、思いを定期的にページに書き出すことなら、ほとんど何にでも当てはまります。一方、研究はもっと具体的です。ジャーナリングとメンタルヘルスに関するエビデンスの多くは、心理学者のジェームズ・ペネベーカーらが先駆けとなったエクスプレッシブ・ライティング(筆記開示)の研究から得られています。参加者は通常、ストレスの多い出来事や感情が揺さぶられた経験、意味のある経験について、自分の考えや気持ちを決められた時間書くよう求められ、それを数回にわたって行います。

ほかにも、感謝日記やポジティブ感情に焦点を当てたジャーナリング、より構造化された治療的ライティングを調べた研究があります。また、書くことは、確立された心理療法のアプローチにもさまざまな形で取り入れられてきました。

この違いは重要です。その日のことを自由に書くこと、ガイド付きのプロンプトに答えること、構造化されたエクスプレッシブ・ライティングのプログラムに取り組むことは、どれも振り返りのための書く行為ですが、同じ結果をもたらすとは限りません。「ジャーナリングの効果」についての大ざっぱな主張を慎重に受け止めるべき理由のひとつがここにあります。

ジャーナリングにはどんなメンタルヘルス上の効果があるのか

研究は、ジャーナリングが心のウェルビーイングに役立つツールであることを裏づけています。さまざまなライティングの介入において、うつ、不安、ストレスの症状に効果が見られたという研究があります。

2022年のシステマティックレビューとメタアナリシスでは、メンタルヘルスの不調に対するジャーナリング介入のランダム化比較試験20件が検討されました。全体として、ジャーナリングは対照群と比べてメンタルヘルス指標のスコアが約5%多く低下することと関連しており、小〜中程度の効果があることが示唆されました。一方で研究者たちは、研究間の大きなばらつきや方法論上の限界があり、広範な結論を導くのは難しいことも強調しています。

2023年に発表された別のメタアナリシスは、エクスプレッシブ・ライティングとうつ、不安、ストレスの症状に焦点を当てたものです。4,000人以上が参加した31件のランダム化研究全体で、エクスプレッシブ・ライティングは小さいながらも統計的に有意な症状の軽減をもたらしました。興味深いことに、その効果は書いた直後よりも追跡調査の時点でよりはっきり現れており、すぐに楽になるというより、時間をかけて効果が育っていく可能性が示されています。

個別の研究でも、期待できる結果が出ています。あるランダム化比較試験では、持病があり不安症状が高まっている成人が、オンラインでポジティブ感情に焦点を当てたジャーナリングを週3回行いました。通常のケアと比べて、参加者は研究期間中のいくつかの時点で不安、精神的苦痛、ストレスの感じ方が低いと報告し、レジリエンスや社会的なつながりに関する一部の指標にも改善が見られました。

これらを総合すると、研究はジャーナリングが心のウェルビーイングを支えるうえで意味のある役割を果たしうることを示しています。劇的な効果ではありません。それでも、小さな改善には意味があります。とくに、手軽で柔軟に取り組め、毎日の暮らしに取り入れやすい習慣であればなおさらです。

ジャーナリングはどのようにメンタルヘルスを支えるのか

思いを言葉にすることが振り返りや感情面のウェルビーイングを支える道筋は、いくつか考えられます。

ひとつは感情の表出です。書くことで、ふだんは口に出さないままだったり、言葉にしにくかったりする考えや気持ちを認められる、プライベートな場所が生まれます。

もうひとつは認知的な処理です。ある経験も、言葉で説明しなければならなくなると違って感じられることがあります。書くときには、言葉を選び、出来事を整理し、考えどうしをつなげる必要があります。頭の中をぐるぐる回っていた思いが、外から眺められるものになり、違った見方で理解できるようになるかもしれません。

研究者たちは意味づけ(ミーニング・メイキング)についても調べてきました。これは、ある経験について、よりまとまりのある理解を築いていくプロセスです。エクスプレッシブ・ライティング中の意味づけの変化が、望まないのに浮かんでくる考え(侵入思考)の減少と関連していたという研究もあり、書くことがつらい経験の整理に役立つ理由のひとつと考えられています。

また、効果は心理的なものというより、もっと実際的なものである場合もあります。書いておけば、ある瞬間に何が起きていたかを思い出したり、繰り返し気になっていることに気づいたり、あとで振り返りたいことを残しておいたりできます。これはセラピーと並行する場合にとくに関係してきます。予約と予約の間には多くのことが起こります。火曜日には大切だと感じた考えも、次の月曜日には思い出しにくくなっているかもしれません。ジャーナルは、その間の置き場所になってくれます。

ジャーナリングは不安やストレスに役立つのか

不安やストレスは、人がジャーナリングを始める理由としてもっともよく話題にのぼるもののひとつであり、研究もその可能性を裏づけています。

エクスプレッシブ・ライティングを検討した2023年のメタアナリシスでは、うつ、不安、ストレス全体で小さな改善が見られました。また、先に紹介したポジティブ感情のジャーナリングの試験では、いくつかの評価時点で不安とストレスの感じ方が軽減していました。

とはいえ、この分野全体の結果は必ずしも一貫しているわけではありません。たとえば、ストレスの多い経験やトラウマ体験について書くことを対象にした以前のメタアナリシスでは、心理的・身体的な健康への全体的な効果は有意ではありませんでした。考えられる理由のひとつは、「ジャーナリング」がさまざまな人や状況で研究された、多種多様な実践を含んでいることです。

だからといって、ジャーナリングが不安の治療法になるわけではありません。それでも、役に立つツールにはなりえます。思いを外に出し、パターンに気づき、話し合う価値のあることを見つけ、あるいはただ振り返りのひとときをつくる場所として。強い不安や長引く不安を抱えている人にとっては、資格を持つメンタルヘルスの専門家による支援と並行して使うことができます。

このふたつは、どちらかを選ぶものではありません。

ジャーナリングはセラピーと同じなのか

これは、治療的なジャーナリングをめぐる話の中で、もっとも大切な区別かもしれません。

書くことは心理療法の中で使われることがあり、構造化されたライティングの介入は臨床の場でも研究されてきました。しかし、家でジャーナルを開くことは、訓練を受けたメンタルヘルスの専門家と取り組むことと同じではありません。

セラピーには、関係性、臨床の専門知識、そしてジャーナルでは提供できない評価や治療が含まれます。ジャーナリングでは、心の不調を診断することも、危機に対応することも、別のレベルのケアが必要なときを判断することもできません。

ジャーナリングの価値は、もっとシンプルなところにあります。

すでにセラピーやほかの振り返りの実践に取り組んでいる人にとって、ジャーナリングは対話と対話の間にも、気づき、問いかけ、整理し続ける場所になります。記憶が新しいうちに何かを書き留めたり、自分のペースでプロンプトに取り組んだり、繰り返し浮かぶ考えを記録したり、次の対話で何を話したいかをはっきりさせてから臨んだりできるのです。

書くことは、時代とともにさまざまな心理療法に取り入れられてきました。この分野のレビューでも、ほかの治療的アプローチと組み合わせられる技法として紹介されています。

ここでのキーワードは、「並行して」です。

どんなジャーナリングがいちばん役立つのか

ジャーナリングの強みのひとつは、その柔軟さです。書き方によって役割はさまざまで、いちばん役立つのは、また戻ってきたいと思える自然なやり方であることが多いものです。

白紙のページを自由だと感じる人もいれば、気後れしてしまう人もいます。書き出しのきっかけになるプロンプトがありがたい人もいれば、思いの向くままに書ける余白が必要な人もいます。

感情が大きく揺さぶられた経験について書くのは、とくにその最中には、居心地の悪さを感じることもあります。ですから、ある書き方が自分にどんな影響を与えているかに目を向けておくとよいでしょう。

ジャーナルには、ある日はつらい振り返りを、次の日には実用的なリストを書いてもかまいません。ガイド付きでも自由形式でも、定期的でもときどきでも、深く内面を見つめるものでも、意外なほどありふれたものでもいいのです。

書くたびに何か深いことを見つけ出す必要はありません。ときには一ページが、ひとつの思いの置き場所になるだけで十分です。

メンタルヘルスのためのジャーナリングの始め方

始めるのに、完璧なルーティンも、すてきなノートも、深い考えも必要ありません。メンタルヘルスのためのジャーナリングに興味があるなら、いくつかの小さな工夫で、ぐっと取り組みやすくなります。

まずは5〜10分から。何ページも埋めなければと思うのではなく、無理のない時間だけ書いてみましょう。短いチェックインでも、いま心にあることの置き場所になります。

白紙のページに圧倒されるなら、プロンプトを使ってみましょう。「今日、頭の中を占めていたことは何だろう?」のようなシンプルな問いが、書き始めるきっかけになります。自由に書きたいなら、もちろんそれでもかまいません。

うまく書こうと気にしすぎないで。ジャーナルに整った文章も、完璧な文法も、きれいな結論もいりません。書きかけの考えも、リストも、問いも、いま感じていることを表すのに役立つものなら何でも書いてかまいません。

書くことでどんな気持ちになるかに目を向けましょう。つらい経験を振り返るのは、居心地が悪いこともあります。とても苦しいことについて書いて、気分が大きく悪化するようなら、手を止めるか、もっとやさしいテーマを選びましょう。つらい経験には、資格を持つメンタルヘルスの専門家のサポートを受けながら向き合うこともできます。

役立ちそうなときに戻ってくればいいのです。振り返りの時間をつくるために、毎日書く必要はありません。定期的に書くのが合っているならそれもよし、何か気になることがあるときに戻ってくるのもよしです。

大切なのは、ジャーナリングをこなすべきタスクのひとつにしないこと。自分を支えてくれて、無理なく続けられる書き方を見つけることです。

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専門家の方にとって、この柔軟さがあれば、ジャーナリングを「すべてのクライアントがこなすべき課題」ではなく、合うときに提案できるリソースのひとつにできます。

研究が本当に教えてくれること

では、ジャーナリングはメンタルヘルスに役立つのでしょうか?

はい。研究は、そう考える十分な理由を示しています。

エクスプレッシブ・ライティングやその他の構造化されたジャーナリングの研究では、ストレス、不安、感情面のウェルビーイング、その他のメンタルヘルスの指標に効果が見られています。効果には個人差があり、ジャーナリングは万能薬でも、専門家による支援の代わりでもありません。でも、そのどちらでなくても、価値があることに変わりはないのです。

ジャーナルは、抱えているものを置いておける場所になります。立ち止まり、言葉を見つけ、心に浮かんでくることに気づき、もしかしたら以前より少しだけ多くを理解できる場所に。

ときには、それこそが白紙のページに求めているものなのかもしれません。

さあ、始めてみませんか?

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参考文献